栗田の野うさぎ

栗田の野うさぎ

記憶をひもといて:利用できれば

「孵化場を訪れた機会がありますか?」  雛が発生した時の孵化場は真に戦場のような状態で、単なる興味や好気心の旺勢な人に、附き合ってはいられない程忙しく構ってくれないのが普通です。だからこのような問いに対する答えは、最初から分かつているのです...
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記憶をひもといて:「ベンデドール(営業マン)」と「コンプラドール(仕入れ係り)」

日本人的感覚でスーパーの購買係を勤めていたが巧くいかない事態に出くわした。夏が過ぎ、秋も深まるにつれてソウメンの仕入れを控え、ウドンの注文を増やした。ソウメンは夏場のものとの感覚がある。しかし気温が下がってもソウメンはかなりの勢いで売れ、在...
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記憶をひもといて:保存食

ある時期になると、せっせと保存食作りに精を出していた。季節の味は、旬であるその時期のみに止め、無くなれば諦めれば良いものを、あの味をもう一度と人の食に対する欲は身勝手で未練がましいものがある。
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記憶をひもといて:香り

事の始まりはリンスの街。単身赴任で行った街の或る夜のこと。仕事を終え何時もより遅い夕食を済ませ、気が向いて少し大廻りをし、静かな古い住宅街を歩いていた。夜も九時を過ぎると人通りは無く、気楽な散歩となった。通りの中程まで来た時、少しきついが気...
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記憶をひもといて:「難題」二題

コンテナが着き、商品発送までの下準備が忙しいその時期に、私は別の仕事をやらされていたらしい。どんな変わった商品が着いたのかも知らず五日程過ぎた時、ふとある人の特別注文の品があったはずだと気が付いて倉庫へ急いだ。数が足りない!商品が勝手に動く...
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記憶をひもといて:「小豆」二題

スーパーで働いていた時のこと。それは一本の電話で始まった。「自分はコチア産組の組合員で収穫間近の小豆があるが売って欲しい」との依頼だった。小量なら業者に頼んで包装し、売れないことはない。数量を訊ねて驚いた。五00トンは下らないだろうと言う。
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記憶をひもといて:街の鼠は「利口」か「馬鹿」か

とある店の方から鼠害で困っているが何か良い方法は無いものか、と相談を受けた。
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記憶をひもといて:投票

投票日が近づいて来ると普段は忘れているのに思い.出される事がある。  子供が大きくなって友達が必要だろうと、クルビのエスコテイロ(ボーイスカウト)に入会させた。同じ年代の友達が出来、高学年になった時、訪日する機会を得た。日本でのエスコテイロ...
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記憶をひもといて:よそみ漬け

上司に呼ばれ、「漬物を作ってもらえまいか」と言われたとき、「それは仕事ですか」と聞き返したい気持ちに駆られたが、わざわざ冗談でこんことを言う上司はいやしない。本気に違いない。
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記憶をひもといて:日本酒

或る時から社長の考えが変わった。日本食のレストランも客にしよう。店で用いる食材と資材を調べ上げ、輸入して攻撃をしかけようと言う。